高密植わい化栽培が実を結ぶまで

苗木の育成

1年目苗木の育成

高密植わい化栽培は苗木の育成から始まります。接ぎ木した穂木の成長を押さえる性質を持ったわい性台木を使用するわけですが、「わい性台木」とはそもそも木自身の持っている力が弱いため、災害にはあまり強くないこと、病気への耐性が弱いことから育成するのが非常に難しいのです。
こばやし園がある上伊那郡では昔からわい性台木の品種改良が行われてきたこともあり、昔よりは大分育てやすくなったものの、土地に合わせて育てるのが農業。マニュアル通りの栽培ではなかなか育たないものです。

試行錯誤の日々

2年目試行錯誤の日々

2年目になると苗木も人間の背の高さを超えてきますが、まだまだ実をつけるには至りません。強風や雪で折れてしまわないように支柱で補強したり、従来型の丸葉栽培と比較しても果樹への気配りが欠かせません。しかし、農業は1日にしてならず。いつかこの木に美味しいりんごが実ることを願って、惜しみない愛情を持って育てるのです。そう、リンゴ栽培は子育てに似ていますね。日々の成長はゆっくりでも手間ひまかけて愛情を注いだぶん、必ず美味しいりんごを実らせてくれると信じて、日々は過ぎていきます。

初収穫

4年目初収穫

4年目でようやく食べられる果実も実りましたが、まだまだお客様にお売りする程の品質にはなりません。ここからが永年の技術の見せ所です。また、この時期最も気を使うのは、夏から秋にかけて本州を襲う台風による被害です。わい化農法は日照効率や風通しが良い分、強風に弱いというデメリットがあります。苗木も大きく成長した分、風の影響を受けやすくなるため、台風シーズン前までに支柱の補強などの対策をしなければなりません。

収穫、そして出荷へ

6年目収穫・そして出荷へ

6年目です。どうですか、大きく立派に育ったでしょう?果実もたわわに実り、味も甘さも申し分ないりんごたちが、たくさん収穫できるようになりました。わい化栽培の優れている点は、作付効率が良く、間隔を大きく取れるため、りんごの日照効率も良くなります。丸葉栽培だと1本の木でも日当たりの良いところとそうでないところのムラができてしまうのですが、わい化栽培にはそれがありません。辰野町の斜傾地を活かしたりんご栽培には非常に合っていて、風通しがよく日光をたくさん浴びたりんごの実は、どれも甘く美味しく育ってくれるのです。また収穫効率もあがるため、食べごろのりんごを素早く収穫して、いち早くお客様の元に届けられる点も良いですね。